経営者の語りを記録する
未完の頂
会社案内にも、ホームページにも 載らない話を残す。
この連載について
地域の会社には、外からは見えない判断があります。
数字にも、沿革にも残らない。けれど、そのとき何を見て、何を選んだのか。その積み重ねが、会社の輪郭をつくっています。
未完の頂は、経営者や事業を担う人が、どこで迷い、何を選び、いま何を残そうとしているのかを、本人の言葉と写真で記録するWebメディアです。
うまくいった結果だけを紹介するのではなく、決める前に考えたこと、断ったこと、途中で変えたこと、まだ答えが出ていないことまで聞きます。
なぜ「未完の頂」なのか
私が暮らす北海道七飯町には、大沼があります。大沼から見る北海道駒ヶ岳は、私が本当に好きな景色のひとつです。
駒ヶ岳を見ると、まず目に入るのは、空に向かって鋭く立つ剣ヶ峯です。あの一番尖ったところがあるから、遠くからでも駒ヶ岳だと分かります。
でも、剣ヶ峯だけが駒ヶ岳ではありません。
砂原岳や隅田盛、馬ノ背があり、その内側には直径およそ2キロメートルの火口原があります。なだらかに広がる裾野も、大沼や小沼の景色も、この山が通ってきた時間とつながっています。
駒ヶ岳は、かつて富士山のような円錐形をしていたといわれています。1640年の大きな噴火で山頂部の一部が崩れ、その後も噴火を繰り返しながら、いまの姿になりました。
崩れて終わった山ではありません。火口をつくり、噴き出したものを積もらせ、形を変えてきた山です。いまも活動する火山であり、私たちが見ている輪郭が、最後の形だとは限りません。
一番尖ったところが、その山を覚えさせる。でも、その一点だけでは、山全体を語れない。
失われた山頂部の跡も、広い裾野も、内側に抱えた火口も含めて、駒ヶ岳です。欠けたように見える輪郭が、この山の弱さではなく、どれだけ大きな時間と力を抱えているのかを、むしろ露わにしているように私には思えます。
会社案内に載る成果も、その人や会社の、いちばん尖って見える部分なのかもしれません。でも、その一点がすべてではありません。
そこへ至るまでに迷ったこと、断ったこと、失ったこと、まだ言葉になっていない考えがあります。
そして、いま見えている頂が、最後とも限りません。
人も会社も、ひとつの頂に着いたら完成するわけではない。これから、別の頂をつくることだってあると思います。
私は、大沼から見る駒ヶ岳の姿が本当に好きです。
欠けているから未完なのではない。まだ次の形をつくれるから、未完なのだと思っています。
このメディアが記録する話は、いつか北海道や道南の外へ広がるかもしれません。でも、未完の頂は、私が暮らす七飯町から始まります。
七飯町にいるからこそ、大沼から駒ヶ岳を見て、あの山の姿にこれほど惹かれたのだと思います。私がここで暮らし、会社をつくり、この土地で生き、働く人たちの話を残したいと思ったこと。その原点を、名前に入れました。
未完の頂が聞くこと
取材の中心に置く問いは、いつも同じです。
「そのとき、何を見て判断したんですか?」
なぜ、その仕事を始めたのか。何を引き受け、何を断ったのか。決めるまでに、どんな迷いがあったのか。以前といまでは、判断の基準がどう変わったのか。
まだ実現していないことは何か。次の人や地域へ、何を残そうとしているのか。
正解を聞くための取材ではありません。本人が当時見ていた景色と、その判断に至るまでの時間を残すための取材です。
きれいな成功談に整えない
未完の頂では、取材した人を、「地域を変える挑戦者」や「成功した経営者」といった型に押し込みません。
いまの結果を知っているからといって、過去の判断が最初から正しかったようにも書きません。
迷っていたことは、迷っていたこととして残します。まだ答えが出ていないことを、無理に教訓や結論へ変えることもしません。
本人の言葉を大切にしながら、読み手がその判断を自分で受け取れる記事を目指します。
取材と掲載について
未完の頂の取材には、編集部からお声がけする取材と、ご依頼を受けて行う取材があります。
編集部が、未完の頂に残したいと考えてお願いする取材では、取材・掲載費用をいただきません。
企業やご本人からご依頼いただく取材では、取材、編集、撮影、記事制作にかかる費用をいただきます。取材内容や制作範囲を伺ったうえで、費用を個別にご案内します。
未完の頂は、広告枠として掲載を販売する媒体ではありません。
ご依頼による取材であっても、広告原稿や会社紹介をそのまま掲載するのではなく、未完の頂の編集方針に沿って取材し、記事を制作します。
費用をいただくことによって、好意的な評価や、ご希望どおりの結論をお約束するものではありません。媒体の趣旨と合わない場合は、取材をお受けできないことがあります。
ご依頼によって制作した記事には、次のように明記します。
この記事は、取材先からのご依頼を受け、制作費をいただいて取材・編集したものです。内容は、未完の頂の編集方針に基づいて構成しています。
費用の有無にかかわらず、取材先には、事実関係、発言の意味、公開範囲、プロフィール、写真などを公開前に確認していただきます。
記事の構成やタイトル、掲載内容の最終的な判断は、未完の頂編集部が行います。
未完の頂がしないこと
- 掲載枠や、好意的な評価を販売すること。
- 本人が話していない考えや感情を、編集部が付け加えること。
- 迷っていた出来事を、最初から確信していた話へ書き換えること。
- 確認できていない数字や経歴を、事実として掲載すること。
- 取材した内容を、本人の確認や同意なく別の目的へ使うこと。
取材する側と取材される側が一緒に確認しながら、それでも広告にはならない距離を保つ。その緊張感も含めて、未完の頂の編集だと考えています。
まずは、道南から
未完の頂は、七飯町を含む道南から取材を始めます。
この土地で会社や店を続けてきた人。新しい仕事を始めた人。家業を引き継いだ人。誰かに仕事を渡そうとしている人。まだ何者になるのか、自分でも決めきれていない人。
有名であることや、会社の規模は問いません。
その人にしか話せない判断があり、いま残しておきたい言葉があることを大切にします。
いつか取材する地域が広がっても、未完の頂が七飯町から始まったことは変わりません。
取材をご希望の方へ
取材をご希望の方、取材してほしい人や会社をご存じの方は、お問い合わせフォームからご連絡ください。
ご自身や会社のことを、きれいな紹介文にまとめてからご連絡いただく必要はありません。
いま考えていることや、残しておきたい出来事を、まだ整理できていない状態でも大丈夫です。何を聞き、どのような形で残すのがよいか、最初の打ち合わせで一緒に考えます。
運営
運営:株式会社CurioDive企画・編集:未完の頂編集部編集責任者:若旅多喜恵所在地:北海道亀田郡七飯町